長渕剛

 高校の頃、学校が終わると家で友達とマージャンをしながら、
誰かが持ってきたカセットテープを聴いていた。
 その中に、長渕剛のアルバムがあった。
 「STAY DREAM」と「LICENSE」だった。

 それまでは、主演したドラマ「家族ゲーム」「家族ゲームⅡ」は観ていた。
 曲は、その主題歌の「GOOD-BYE青春」と、「乾杯」「順子」を知っていたくらい。
 自分の中で長渕の存在は、それくらいだった。

 その後いつだったか、何気に観ていた「夜のヒットスタジオ」。
 冒頭の歌声に、全身を貫かれた。画面に釘付けになった。
 後から思えば、それが長渕、♪「STAY DREAM」だった。

 「STAY DREAM」

 このアルバム、本当、共に人生を歩いてきた、つー感じだ。
 10代後半から、20代、30代、40代…(笑)。
 聴くのは大体、辛かった時かな。
 先が見えない行き詰った時。まぁ、人生の大半そんな感じだけど。
 それに、フラれた時、とか(笑)。
 聴いたその時期その時の心情が、このアルバムの曲と積み重なって、現在に至っている。

 曲は、演奏がギターとハーモニカだけだったり、音はシンプル。
 それが、たまらなく沁みる。

 一曲目、♪「レース」。
 もう、すっと心に入ってくる。イントロ聴いただけで、落ち着くね。
 歌詞同様、病気で体調が悪い時とか聴くと、いい(笑)。
 
 「HELLO 悲しみよ!」沁みるなー。

 「少し気になったBREAKFAST」 この曲、齢を重ねて聴く度に良くなる。
 最高のラブソングだ。

 「ひとりぼっちかい?」 ハーモニカの音から、軽快な感じで。
 歌詞がいいなー。

 「SUPER STAR」
 「 笑っちまえよ たかがこんな自分と!
 くよくよふさぎ込んでも そこから何も始まらないぜ 」
 この歌詞が、このアルバムの全曲に通じている。
 そして、この頃の長渕剛本人のイメージにも。
 笑っちまう、のは、シリアスな時になかなか難しいことだが、
それができればね、少しでも気が上向くのだ。

 「STAY DREAM」
 夢、なんてものは持ち合わせていなかったし、
何かを目指して努力する、なんて事は自分の性に合わない。
 だから、挫折というものにも無縁。
 でも、ただ生きていくだけでもハードワークだしね、この世の中。
 辛い時、悲しい時には聴くよ。
  無理に自分を奮い立たせなくてもいい。
 長渕の歌声を聴けば、それで落ち着く。
 そしてまた、ゆっくりとね、ゆっくりと歩き出せばいい。

「LICENSE」

 当時、夕方、ちょうど「親子ジグザグ」の再放送をやっていた。
 主題歌♪「ろくなもんじゃねえ」! 
 ノーヘルでガム噛みながら単車で走る長渕。最高だよ。
 自分の中の長渕は、やっぱりこのイメージなんだ!
 女好きで、ヘラヘラ、フラフラ、チャラチャラと。
 好き勝手自由な、気のいいあんちゃん。
 町の小さな中華料理屋の親父が良く似合う。瓶ビールがね。

 ドラマで覚えているのは、母親役李麗仙とのシーン。
 前にいる母親に背を向け、長渕が「母ちゃーん!」と絶叫する。
李麗仙 は、その姿をじっと見つめながら、「なんね?勇次」と静かに一言返す。
 このシーン、今観たら声出して泣くな。

 「LICENSE」
 「泣いてチンピラ」!  一曲目、弾けんなー!
 そう、長渕はこのイメージのまんま。
 「SITTING IN THE RAIN」 もまた、そう。

 ラスト「何の矛盾もない」
 しんみりと・・・泣くよ、これ。泣く。
 この曲も最高のラブソング。

「とんぼ」

 ドラマ「とんぼ」は当時、やっぱりハマって観ていた。
  だがそれまでのドラマとは違い、全編、重苦しく殺伐としていた。
 チンピラの延長?
 中学の友達は、「ファッションヤクザ」って言って小馬鹿にしていた(笑)。
 でも時折見せる、らしさ、つーかね。
 砂浜を哀川翔と単車で走るシーン。あれだよなー。あの感じ。
 英二が住む部屋にも惹かれた。
 小上がりの畳のスペースがあって、広いロフトの寝室。
 植木等、大滝秀治。良かったなー。出てきただけで、もう泣けたよ。

 その後、よく聴いたアルバムは、「JEEP」。
 良かった。以前のような軽さ、らしさが感じられた。
 ♪「 JEEP 」 まさにドライブミュージックだ。
 車を走らせながらカーステで聴くと、幸せだね。
 ♪「Myself」 優しい曲だなー。いやー、泣いた。
 このアルバムは節目というか、一つの区切りだった。

 次の「JAPAN」を最後に、その後、長渕のアルバムを聴くのは止めた。

「第2回長渕ファン王決定戦」

 その後の十数年も、前述の3枚のアルバムはよく聴いていたが、
発表される新作のアルバムを聴くことはなかった。聴く気にならなかった。
 ただ、出演するTVは観ていた。

 2006年、深夜に「第2回長渕ファン王決定戦」つーのを放送している。
 面白い。 ふと気付いた。第2回? ん、もしかして…。
 出た!! 本物!! ああ、笑顔があの頃の時のようだ。
 1曲目♪「愛してるのに」 いきなりの絶唱! 胸を貫かれた、また。
 二十年前のあの時、♪「STAYDREAM」を目にした時のように。
 全然知らない曲だったけど、痺れたー。

 終わったと思ったら、おお、次週もやるのか。その予告。
 うわー、♪「ろくなもんじゃねえ」だ! なんと、♪「Myself」も!!
 この数十秒の次週予告だけで、熱いものがこみ上げてくる。
 次の放送まで、この予告を何度も繰り返して観た。

 後半の放送。
 こりゃ、終始泣きっぱなしだな、と思っていたけど、なぜか涙は出ない。
 ただただ聴き入って、幸せな時間が流れた。
 ♪「東京青春朝焼物語」 あれ?この曲、こんなに良かったのか!
 盛り上がったなー。
 最後の曲。 正直、出演したのは新曲か何かのプロモーションだと思った。
 だからラストは、その新曲だろう、なんて。
 と!思っていたら・・・。
 ♪「STAY DREAM」!! まさかの。いやー、信じられない。
 堰を切ったように涙があふれ、声上げて泣いた。
 良かったー。ラストのアレンジも。もちろん、長渕が歌う姿も。
 このライブ? これ以上ない、最高だった。

 選曲が、本当神がかっていた。
 一番いい時期のアルバムの、一番いい曲を、どうして?
 と、疑問を抱いたが、そうか、くりいむしちゅーが俺とタメだったんだ。
 80年代後半。高校生だった者にとっては、
この時期のアルバムの曲は、やっぱり永遠なんだ!

 現在も、長渕が出演する番組はチェックして観ている。
 やっぱり、好きな曲を演ってくれると、いいね。
 いずれ・・・
 一作目から、アルバムを聴いてみようか。