RAMONES

 ロンドンで生まれたと思っていたパンク・ロックが、
そのルーツがニューヨークにあったと知り、驚いた。
 私はまず、その代表とされていたラモーンズの 1st、
「ラモーンズの激情」 を買った。

 モノクロのジャケット。白く浮き出すバンド名。
 落書きされたレンガの壁を背に並ぶ4人。悪そうだなー。
 ニューヨークの裏通りの、危ない空気が伝わってくる。

 1曲目♪「 Blitzkrieg Bop 」
 聴いた瞬間思った。おお、まさしくパンクだ!
 速い! シンプルで軽快。曲も短い!
 淀みなく一直線に曲は進んでいく 。気持ちいいー。

 ジョーイのヴォーカルは、ロットンやストラマーとは違い、
自分の感情を相手にぶつける、そんな荒々しさはない。
 自然体で飄々と、どこか間の抜けた感じさえ受ける。
 ジョーイは優しいんだ。でも、勇敢なんだ!

 買ったCDは日本版だった。今までは輸入盤ばかり買っていたので、
どのバンドも歌詞など気にせず曲だけを聴いていた。
 せっかくだから、訳詞を覗いてみた。
 7曲目♪「I DON’T WANNA GO DOWN TO THE BASEMENT」

「オバケがでるから 地下室には行きたくない」

 !! 私は衝撃を受けた。それまでパンク・ロックは、
日常の不満や体制に対する怒りを、歌詞に込めて歌ったものだと思っていたが…。
 でも、確かにオバケは怖い! 地下室に行きたくない!
 …そうか、歌いたいことを歌えばいいんだ。

 ロンドン・パンクとはまた違う音、異なる個性に、
私は新鮮な気分で、ラモーンズを繰り返し聴いた。

 その後、NHK-BS2で「ロック誕生50年」という番組が放送された。
 様々なアーティストの映像が、年代順に流された。
 その中で、ついにラモーンズが登場した!
 曲は♪「Sheena Is A Punk Rocker」!

 「ワンツースリーフォー!」 いつものような、ディーディーのカウント。
 あれ? 速い! CDより速い! あ、ドラム、マーキー・ラモーンだ。
 ベース、え?あれ、ディーディーか!?

 短髪でグラサン、皮のベスト。頭にあったイメージとは違う。
 おお、んか、男らしいぜ!  ベースの構え方がカッコいいなー。
 一心不乱に弾くその姿は、観ている者を圧倒する。すげー。
 初めて観た、動くラモーンズ。私は戸惑い、そして感動した。

 正直、2ndからのアルバムは、1stほど聴いていない。
 でもこの映像の♪「Sheena Is A Punk Rocker」 は最高。
 どんだけ見た? 何百回見ても、飽きない。

 一番好きな曲。♪「Judy Is a Punk」だ!
 速い!  そして、切ない!(笑)
 後年も演ってるけど、もうハード・コアだよ。

 C・J・ラモーンが、♪「 Judy Is a Punk 」が最も好きな曲で、
ラモーンズの中で完璧な曲である、と語っていた。
 おお、C・J、その通りだぞ!

 映画「ザ・ロイヤル・テネンバウムス」で、この曲が使われている。
 そのシーン観た時、つくづくこの曲が好きだなー、と実感した。
 多くのミュージシャンがカバーしてるけど、不思議にどのカバーもいい。
 この曲は、誰がカバーしてもいいのだ! 凄い!
 聴くたび、ますます好きになる!

 ラモーンズのドキュメンタリー映画「END OF CENTURY」。
 メンバー本人の口から語られる、知られざるエピソードの数々。
 その真実に私は驚き、気が重く沈んだ。
 初期のCBGBの映像が凄い。貴重だなー。
 ラモーンズを語るストラマーの、楽しそうなこと!

 メンバーの中で、ドラマーはあまり印象に残らなかったが、
ジョニー、ジョーイ、ディーディー。
 この3人はラモーンの濃い血で繋がれている。絆というより、宿命だ。

 映像を見ていると、たまらなく悲しく、辛くなる。
 あ、そうか、もう、みんないないのか。
 いたたまれない感傷に陥っていると、彼らの声が語りかけてくる。
 おい、なにメソメソしてやがる。とっとと俺たちの曲を聴け! と。
 「ワンツースリーフォー!」  曲が始まる。

ニューヨーク・パンク

 つっても正直、ラモーンズ以外、パンクには聴こえない。
 CBGBに集まったミュージシャンたちを、そう呼んだのだ。

 テレヴィジョン。1st「Marquee Moon」。
 これ、クラッシュの1stと同じ時、渋谷のタワーで買ったかも。
 ♪「Venus」を聴くと、その頃を鮮明に思い出す。
 やっぱ、ギター。耳にいつまでも残る。T・ヴァーレインの声もいい。
 2ndもなかなか。4曲目♪「Careful 」。切ねーなあ!

  あー他のバンド?
 ジョニー・サンダースだ! こりゃパンクだよ。カッコいいなー。
 でもヘロヘロで、その様はポーグスのシェインのよう。
 &ハートブレイカーズ「L.A.M.F.」 ♪「Chinese Rocks」
 シドが歌ってた。それに、MODSもな!

 ニューヨーク・ドールズ? 聴いて、すぐ売った。ロックンロールだ。
 D・ヨハンセンが出ていた映画「のるかそるか」。何気に大好きだよ(笑)。

Talking Heads

 トーキング・ヘッズ! もう一枚一枚、語り尽くせないよ。
 パンクとか、ニューウェイブって枠から、どんどんはみ出していく。
 その音楽の多彩さ、変化はすごい! でも、1stが一番(笑)。

 初期の集大成、映画「ストップ・メイキング・センス」。最高だ。
 冒頭、アコギを抱えたデヴィッド・バーンが一人登場。
 足元のラジカセからリズム音。♪「Psycho Killer」だ! 
 やっぱ、この曲が一番なじみ深い。

 終わって、ベースのティナ・ウェイマスが現れ加わる。
 2曲目♪「Heaven」
 出だし、ギターのひと弾きで、瞬間泣いた。あれ?俺、疲れてんのか?(笑)

 優しい。たまらなく優しい。渇いた心に深く染み込み、広がる。癒し、そのもの。
 デヴィッド・バーンとコーラスのサビのハモリ。
 ああ、んだかんだ、これまで生きてきて良かったよ…。
 ってあれ? ここ、 Heaven じゃねえの? もう、連れて行かれちゃった?
 悪くないな。この曲を聴いたまま…。

 ♪「This Must Be the Place (Naive Melody)」
 何だろう、すごい、しんみりする。そして、何か…。
 好きだなー、本当に。

 ニューヨーク。’70年代中盤から’80年代初頭まで。
  皆、自分の衝動に抗わず、衝動のままに音楽を演っていた。
 そのエネルギーの集合体が、「パンク」だった。
 音楽だけにとどまらず、パンクの波は様々な分野にまで影響を及ぼした。
 ジム・ジャームッシュもまた、その波にのまれた一人だった。