「パーマネント・バケーション」

 88・4/14 蜘蛛女のキス
 28 ダウン・バイ・ロー
 5/5 ストレンジャー・ザン・パラダイス
 12 パーマネント・バケーション

 ′88年4月。私は高三になった。え、受験生? マジか…。
 そんな春に、ジャームッシュの初期三部作! 本当、救われたよ。
 処女作の「パーマネント・バケーション」はカラー!
 16ミリで撮影された粗い映像が、初々しい。

 この映画は、’79、80年当時のNYを伝える象徴的な作品として、
「バスキア、10代最後のとき」にもインサートされている。
 「トータルにイカれてる」 そんな感じか?

 主人公アリーは、当時17歳の私と同じくらい?
  何もない部屋で、♪「Up There in Orbit 」にのって踊る。
 この曲、カッコいいなー。チャーリー・パーカーの曲ではなかった(笑)。

 廃墟のような街中を、1日中ふらつくアリー。ある種のロード・ムービー。
 出会うのは皆、現実から取り残された者たち。
 ドップラー効果。 男が口ずさむ救急車のサイレンが…。

 ガムランの音が、現実から足元を浮き立たせる。
 頭の中でその音が鳴り始めれば、漂流は始まる。
「バイブしててクレイジー」 ジョン・ルーリーの調子を外したサックスも、
アリーの漂流を断ち切ることはできない。

 「終わりだ 出ていく時だ よそへ行けと」 アリーは声を聴く。
 行きたい場所があるわけではない。だが、ここから離れなければならない。
 水が腐らぬためには、溜まらず流れ続けるしかない。

 「終わりのない休暇」  タイトルに込められた思いは、
ジャームッシュ自身のスタンスの表れなのか。

 高校の頃、 ジャームッシュの映画は、私自身を再認識させた。
 日々の鬱積が増すほど、十代の私の血肉となっていった。
 この時もう、自分の肚は決まっていた。 あとは、彷徨い続けるだけだ。

「白い町で」

 19 私生活のない女 26 タンゴ・ガルデルの亡命
6/2 ローカル・ヒーロー/夢に生きた男 9 チューズ・ミー
16 黄色い大地 23 ディーバ 30 白い町で

 アラン・タネールの「白い町で」も印象に残っている。
 船員の男が、船が停泊した町でバーの女と出会い、愛し合う。
 男は出発する船を見送り、町に残る。やがて女は男に飽き、姿を消す。
 男は町を離れ、あてもなく旅立つ。

  いかにも中年風情のブルーノ・ガンツが、白く眩しいリスボンの町を、
8ミリカメラを片手に、Tシャツ一枚でブラつく。
 解放感に満ちている。いい。自由だ。

 もう、心はリスボンに行ってたね。一緒に町を歩いてた。
 船に戻らず、家にも帰らず、ふらっと気分のまま。
 やっぱり、そこに惹かれたんだ。

 この作品は、高校以来観てない。
 二人の女に関してのあーだこーだなんて、分からなかったろ、当時は。
 現在観ると、当然違った思いを抱くだろうね。

 タネールは他にも観たい作品がたくさん。特に「光年のかなた」は、
何か発見以上のものを、私に与えてくれそうな気がする。

「モナリザ」

7/7 モナリザ 14 美しさと哀しみと
21 蘭の肉体 28 ある女の存在証明

「モナリザ」も良かった。やっぱりナット・キング・コールが歌う♪「モナリザ」。
 いつまでも、あの歌声が耳に残る。本当に優しい気持ちになる。

 この作品も、高校以来観てない。
 惚れた娼婦の頼みを訊き、自分の身を削って奔走する。
 ボブ・ホスキンスの奮闘ぶりが、哀しく切ない。

 ホスキンス、撮影当時、43、4? マジか! そうかあ。
 もう、その歳はとっくに越えちゃったよ。
 現在観れば、より身近に、ホスキンスに哀感を覚えるだろう。
 そして ナット・キング・コール の甘美な歌声が、より私の心に沁みわたるだろう。

「ある女の存在証明」

 アントニオーニは、この作品が初見。
 話? 17のボンクラのガキに、分かるわけねーよ(笑)。

 エロかったなー。普通のラブシーンと違って。
 オヤジの攻め方、その手口、つーか 。
 あれ? それ、今なにやってんの? みたいな(笑)。

 ブロンドの女性が、異常におきれい。クール・ビューティの典型。
 それが、オヤジとあんなことに…(笑)
 もう一人の女は、やけに額が広いなー、って、それだけ覚えている。

 エロとデコ。ガキだった私が感じた、二人の女の存在証明なんて、
そんなもんですよ(笑)。

 ♪音楽も変だった。シンセを使った何か。’80年代らしいけどね。
 ドラマとは合わない。だが、その違和感が面白い。

 アントニオーニはいつも知らぬ間に、未知のゾーンへ導いてくれる。
 そして歳を経るごとに、エロ描写に磨きがかかる。
 凄い!(笑)