三月の終わり、BSで「坂本龍一 被災地をつなぐオーケストラ」を観た。
 その番組の中で、バーバーの♪「アダージョ」を聴いた。
 久々に耳にしたその曲は、演奏された曲の中で、最も深く心に沁みた。

 初めてこの曲が記憶に残ったのは、
映画「エレファント・マン」のラストシーンだったと思う。
 私は、小学校の高学年だった。

 それから…

 数日前、悲しい、あまりにも悲しい知らせを聞いた。
 放心したまま、時間だけが過ぎた。

 これからこの先… そう思うと怖い。
 新聞やニュースを見るのが、怖くなった。
 ああ、もう悲しむのは嫌だ。しんどいわ。
 かといって… 楽しみ? 楽しみなんて、あんのか?

 ♪「ADAGIO」は、’89年の坂本龍一のアルバム「BEAUTY」に収録されている。
 数日、この曲を繰り返し聴いていた。
 他に聴きたい曲なんて、見つからない。
 この曲のストリングスが、常に頭の中で鳴り響いていた。

 見上げると、ハナモモが咲いていた。
 暖冬だったからか、例年より早いように思える。
 枝を見ると、すでに新しい葉が、確認できた。

 足元を、散った花びらが、舞っていた。
 ゆっくりと眺める時間もないまま、花は散り始めた。
 いや、眺める気にならなかったのだ。

 時が経つのは早い。そして、時は残酷だ。

 4月になった。4月。
 サイモン&ガーファンクルの♪「April Come She Will」を、ふと思い出した。
 ここ数日、♪「ADAGIO」以外の曲を聴くのは初めてだ。
 そしてこの曲を聴くのも、思い出せない、きっと数年ぶりだろう。

 四月にふさわしい、P・サイモンのギター。A・ガーファンクルの歌声。
 今の心境に、このトーンが合ってんな。
 ほんの束の間、気分は上向いた?
 元気? 元気なんて出さねーでいいよ。

 この曲もまた、別れ、を歌っていた。

 「8時だョ!全員集合」のエンディング。
 ♪「ドリフのビバノン音頭」は、幼少の私に切なく聴こえた。
 楽しい時間が終わってしまった、という寂しさからだ。
 ドリフの5人は皆、ひと仕事を終えた大人の男の、いい顔をしていた。

 「飛べ!孫悟空」の挿入歌♪「ゴー・ウエスト」。
 ドリフの歌の中で、一番好きだなー。

 2001年。NHKの歌番組にドリフが出演した。
 曲のメドレーの中で、なんと♪「ゴー・ウエスト」が!!
 ♪「ニンニキニキニキ ニンニキニキニキ ニニンが三蔵」
 自然と、一緒に歌い始める。
 何十年も経っているのに、歌詞は覚えている。
 最高だったなー、笑って、そして泣いた。

 ドリフターズ、そして、志村けんは、
幼少時からずっと、幸せの象徴だった。